COLUMN
2020.10.08 更新
今までにない新しいジュエリーやアクセサリーが欲しいと思った時。
もしかするとその出会いは「金継ぎ」で叶うかもしれません。
好きな色の宝石を組み合わせたり、自由なデザインを楽しんだり…今回はわくわくする要素がいっぱいの金継ぎを使ったジュエリーについてご紹介します。
金継ぎを一言で紹介すると、金粉を使った器(うつわ)の修理方法です。
別名を金繕い(きんつくろい)とも言い、室町時代から続いている伝統技術でもあります。
そして伝統技術として受け継がれたことで現代の金継ぎは思いもよらぬ発展をしました。
金継ぎは漆(うるし)と金粉を混ぜ合わせたものを接着剤として使うことで、見た目も華やかに欠けた部分や割れた部分を修復することができます。
そのまま修復するだけでも十分に見栄えしますが、欠けた部分を活かして模様のようにアレンジする楽しみ方もあります。
本来はこのような修復技術として伝わっていましたが、現代では新しい作品を生み出す技法としても注目を浴びています。
陶器のほかにガラスや宝石の接着も出来ることから、現代では金継ぎを使ってデザインしたジュエリーやアクセサリーなどもあります。
好きな色、素材の組み合わせを楽しめることから、デザインのバリエーションも多くついつい集めてしまいたくなる魅力も持っています。
また、伝統技術という響きからとても難しい技術というイメージを持つ方も多いですが、じつは初心者の方でもワークショップなどで体験することもできる簡単な金継ぎも登場しました。
金継ぎには3種類あり、それぞれ仕上がりまでの期間やコスト面なども違いがあります。
金継ぎを使ったアクセサリーやジュエリーが気になっている方にとって、金継ぎの種類は覚えておくと役に立つので特徴を簡単にご紹介したいと思います。
1つめは合成樹脂のみで作られた「簡易(かんい)金継ぎ」です。
使われている漆は天然のものではなく、合成漆が配合されています。
また、簡易金継ぎでは金粉ではなくブロンズ粉などで代用する場合もあるので、キットなどを購入する場合は同梱内容をよく確認しておきましょう。
2つめの「簡漆(かんしつ)金継ぎ」も合成樹脂が配合されていますが、仕上げの際に天然漆を表面に塗って乾燥させます。
個人差はあるものの天然の漆にはかぶれる成分があります。
そのため職人も皮膚に漆がつかないよう作業中は気をつけているそうです。
3つめは工程にすべて天然の漆を使った「本漆(ほんしつ)金継ぎ」です。
この本漆金継ぎを元祖として、簡漆金継ぎと簡易金継ぎが開発されました。
それぞれの特徴の違いからアクセサリーの制作には簡易金継ぎ、実用性の高い器の修理には本漆金継ぎというように使い分ける方もいます。
金継ぎとジュエリーの関係はまるでオーダメイドのジュエリーを仕立てることに似ています。
素材、デザインなどを自分の思うままに形にすることができるとしたら、あなたは金継ぎを使ってどんなジュエリーを作り出しますか?
洋服の色を選ぶ楽しいひと時のように、わくわくしながら好きな色の宝石を選ぶこと。
そして、選んだとっておきの宝石を組み合わせてジュエリーを作り出す。
これも金継ぎを使ったジュエリーの魅力のひとつです。また、宝石の色合いによってはシルバーカラーの方が映えることもあるかと思います。
そんな時は金粉の代わりに銀の粉を混ぜた銀継ぎを選んでみてはいかがでしょう。
人によっては銀継ぎの方が肌を綺麗に見せてくれるので、前もって肌馴染みをチェックしておくとより自分に似合う宝石が選べます。
割れた器をつなぎ合わせることができるように、金継ぎはどんな形のものでも組み合わせることができます。
もちろんラフな形の宝石同士で組みあわせることだってできるのです。
どんな形の宝石を組み合わせるか、宝石をいろんな角度から眺めてデザインを考える時間も醍醐味のひとつではないでしょうか。
また、いろんな素材を組み合わせることができるので宝石と陶器を組み合わせるなど、違う素材同士でオリジナリティーを出してもおもしろいですね。
また、金継ぎを使ったジュエリーやアクセサリーは和装にも似合います。
落ち着いた金の色味は金糸の刺繍とも相性が良く、カジュアルなデザインなら浴衣と合わせても素敵です。
もし、選べる機会があれば仕上げの際に艶感にこだわるのもおすすめです。
金継ぎの仕上げでは、艶消しをして渋い色味が引き立つ「消し金」と反対に艶感をより出した「磨き金」があります。
着物の柄や金糸の色合いに合わせて仕上げの艶感を変えることで、一段と装いを引き立ててくれることでしょう。
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