COLUMN
2021.08.05 更新
ジュエリーを作る際、宝石を留めることを「石留め」と呼びます。
たとえばジュエリーをリメイクしたり、一からオーダーメイドのジュエリーを作りたいという時にこの石留めの種類について知っておくと、理想的なジュエリーデザインが浮かびやすくなります。
ジュエリーが好きな方やオーダーメイドをしたい方が思わず読みたくなる石留めについてご紹介しましょう。
宝石の硬度、大きさによって適した石留めの技法がほぼ決まっています。
そのなかでも「爪留め」「覆輪留め」などはオーソドックスな石留めの技法です。
まずはジュエリーショップでも見かけることの多い石留めの技法からご紹介したいと思います。
「爪留め」とは、名前の通り2本以上の「爪」で宝石を留める技法です。
メインの宝石を留める方法として定番ということもあって日頃から見慣れている方も多いでしょう。
安定感から通常は4本の爪で留めることがほとんどですが、宝石の形やジュエリーデザインによって爪の数が変わることもあります。
ちょっとした豆知識ですが、皆さんもご存知の「ティファニーセッティング」も爪留めで宝石を留めたものです。
宝石の形がすっきり見える「覆輪留め」はハイブランドでも見かけることの多い石留めの技法です。
ただし、宝石の硬度によっては割ってしまいかねない難易度の高い留め方でもあります。
ちなみにファセットカットとカボションカット、どちらのカットでも留めることができますがカボションカットの方が一般的です。
同じ覆輪留めでも宝石のカットが違うと印象がとても変わるので、実際に見比べてみると良いかもしれません。
そのほかにもミルという小さな粒々で石留めする「ミル留め」という技法があります。
別名「ミルグレイン」とも呼ばれており、ヨーロッパなどでも縁起の良い石留めとして今でも人気があります。
日本でも可愛らしいデザインから人気があるので一粒石を留める時はもちろん、装飾としても使われることの多い技法です。
もし、一粒石のジュエリーがお好きな方ならミル留めを施したジュエリーをチェックしてみてはいかがでしょう。
先ほど紹介した石留めは主にメインを飾る宝石を留める方法として用いられています。
その逆にメレサイズなどの小さな宝石を留める時は、また違った石留めの技法が使われます。
そこで、メレサイズの宝石をあしらったジュエリーをオーダーしたい方向けの石留めについてもピックアップしました。
指輪の内側に宝石を留めたりするデザインを見たことはありませんか?
これは宝石を埋め込む留め方で「伏せ込み」という名前で呼ばれている技法です。
爪留めと比べると埋め込むことで宝石に光が入りにくくなりますが、しっかりと宝石が留まる安定性の高い石留めでもあります。
指輪の内側に宝石を留めるシークレットデザインをはじめ、汎用性の高い石留めなのでメレサイズの宝石をあしらったデザインなどに向いています。
ちなみに伏せ込みから派生した石留めの技法は数多くあります。
縁起の良い後光(神仏が発する神聖な光)にあやかった「五光留め」もそのひとつです。
完成した様子が星の形に見えることから星留めとも言い、そのデザイン性から女性を中心に人気の高い石留めでもあります。
指輪からピアス、ネックレスなど幅広いデザインでおすすめできるので、一粒石のジュエリーを持ちたい方にもおすすめです。
そのほかに見ることの多いもので「4点留め」という、対角線上の4点を留める技法があります。
いろいろな名称があり、職人によっては「チョン留め」「玉留め」と呼ぶこともあるそうです。
ちなみに伏せ込みをはじめとするこれらの石留めは、主にメレダイヤなど小さなサイズの宝石を留める時に用いられます。
カジュアルなリングのほか、結婚指輪でも見られることの多い石留めなのでこちらも一度は目にしたことがあるかもしれませんね。
石留めの技法は今回紹介したオーソドックスなもの以外にもいろいろな種類があります。
また、宝石によっては石留めではなく接着して留めることもあるのです。
最後はそういった番外編とも呼べる石留めの技法についてご紹介したいと思います。
パヴェリングのようにメレサイズの宝石を並べて留める場合いくつかの技法がありますが、そのひとつが「レール留め」です。
線路のような溝を作り、均等に宝石を並べて留めることでバランスの良い見た目を楽しむことができる技法です。
パヴェリングをはじめエタニティリングのようなジュエリーデザインには欠かせない石留めといっても良いでしょう。
ドイツのNIESSING(ニーシング)が開発した「ニーシングセッティング」は、なんと石枠なしで宝石を留める新しい石留めの技法です。
熟練の職人が圧力を加えて宝石を留めることで「テンション=圧力」からテンションリングとも呼ばれています。
石枠がないことで宝石が光を反射しやすくなるので、宝石の輝気を存分に楽しみたいという方にとっておすすめの石留めです。
石留めとはまた別ですが、ジュエリーにおいては「接着」で宝石を留めることがあります。
たとえばパールをデザインするジュエリーで見られることの多い方法です。
でも、よくある接着剤でくっつけるということはなく、TASAKIなどのようなハイブランドでは専用の接着剤を使って宝石を留めています。
もしパールのジュエリーを修理したいと思った時、安易に接着剤を使ってしまうと変色などの原因になりかねないので注意しましょう。
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